アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

一年経って(雑感)

 一昨日イパネへ行った。

 イパネはアスンシオンから27キロ離れた郊外にある田舎町である。毎年この時期に行き税金を納め、それからパラグアイ川を眺めて帰る。一年前その時の様子や拡がり始めたコロナ禍についての心境を、当ブログに記した。

 新型コロナ収束の兆しが見えない状況が、当地でも続いている。それどころか感染者数はここ数日急増する一方だ。

 今月18日から首都アスンシオンを含む国内20数箇所で、夜8時から翌朝5時まで外出制限の大統領令が公布された。
 
 元より脆弱な医療体制や人々の感染に対する意識の低さに加えて、構造的な慢性汚職体質から、政府が効果のある政策を打ち出せない等、コロナ禍が終わらない理由はいくらでも挙げることが出来るが、分析したところで詮無きこと。
 却って虚しくなるので話題を変えたい。
 

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Ypané

 いつも iPad で「令和の虎」を観ている。これは五人の成金社長(虎と呼ばれる)が、志願者のビジネスプランに身銭を切って投資するバラエティー番組である。10数年前に「マネーの虎」という番組がテレビ放映されていて、その You Tube 版だそうだ。

 出演者皆弁が立つ。どいつもこいつも胡散臭そうだが、案外自分自身を志願者に自己投影して見るからか、番組にのめり込んでしまうのだ。
 それは何故かというと、私が論理的に議論を進めるのが苦手なので、それに対して憧憬の念を抱くところがあるからだと思う。
 

 大学4回生の夏、就職活動である会社を訪問した際、面接担当者が余りにも高圧的、敵対的な態度で終始する(未だに理由不明)ので、当方も面食らい「学生さん、あんたの趣味は何だね」「"女"ということにしときましょうか(注)」と滅茶苦茶な返答をしたっけ。翌日不採用通知の電報が届いたが。

 (注)「趣味が女」は勿論口から出任せを言ったのだが、司馬遼太郎『世に棲む日日』の高杉晋作が長州藩主に拝謁する場面で同様のくだりがあり、それが頭の片隅に残っていたのか、条件反射的にポロっと出てしまった。念のため。


 もう一つは、海外青年協力隊の面接時に「ボランティアについてどう考えるか」と尋ねられた時のことだ。
 実は優等生的模範解答を言おうと思ったのだが、「本音を言えばいいやないか」ともう一人の自分が囁くので、ジム・キャリーの映画『ライアーライアー』のように言葉が出なくなった(参ったよ。よりによってこんな時に)。

 そして「·····私の応募理由は自分が外国へ行き、見聞を広めたかったからです。ボランティアについて関心を寄せたことは今までありませんでした。しかし動機が不純であれ、己の活動が誰かの役に立てば、そこに価値があると思いますが·····」のようなことを言った筈である。

 言い訳のような返答をしてしまい、これは面接ではねられるかと悔やんだが、その一方本心を言ったのだからこれで良かったと開き直れたことも事実だ。


 「令和の虎」を観ながら、ほろ苦い昔のエピソードを思い出した(笑)。


 結論) 相手を傷つけない限り、本音を言おう。大概それで上手くいくものである。