アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

副業をぶっ壊す(立花某とは関係ありません)

 近頃コロナが下火になってきたせいか、患者が増えてきた。

 まことに有難いことだが、数年前から一日に診る患者数を五人までと制限しているので、飛び込みの人に対して今日は既に予約が一杯でと断ることもままある。

 開業当初は飛び込み患者を断ることは滅多になかった。目の前のチャンスを逃すなという訳でもないが、無理してでも何とかやりくりして診ていたものだ。
 治療する者がそれをこなす体力があれば別に構わないが、私の場合は5~6年目に疲れて次第に手抜きするようになった(正直者なので告白しますが)。

 「治療家は最高の治療を施す義務がある。患者はそれを受ける権利がある。治療は金儲けではない」という古賀正秀先生の考えに感銘を受け、少しでもその域に近づきたいと思っていたが、どうも違う方向を歩んでいることに気づいてがっかりした。古賀先生はオステオパシーの第一人者である。


 己の健康を犠牲にしてまでの、患者(若しくは金儲け)第一主義はアホかと思うが、治っても治らなくても自分が納得のいく治療を施したい。それは誠意というものだ。
 だが私がしたい治療法は、一言で言うと経済効率性が悪い。無論お金がなくてピーピーするのは困るので、何か別の方法で利潤を追求しようと考えた。

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Asunción Super Centroを臨む

 そこで思いついたのが不動産投資である。

 今まで関わったことのない分野だ。パラグアイの商慣習は日本とは異なるだろうし、ぽっと出がうまくいくほど甘くないのは承知の上だが、よく考えれば誰でも初めは新人なのだ。過度に気後れすることは百害あって一利なしだろう。

 2021年現在のパラグアイ不動産市況は、先行き不安なアルゼンチン資本の投資先として人気が集中しており、首都の地価は軒並み高騰している。
 よって個人レベルの投資家が大勝ちするのはかなり厳しい状況だが、二十数年前、不動産投資はまだメジャーな存在ではなく、素人でも掘り出し物(件)をアスンシオン市内で見つけることは可能だったのだ。
 
 何とかかき集めた15,000ドルで購入した土地を、三年後35,000ドルで売却した(2006年)。今度はその利益を元手に別の優良物件を探すというやり方である。

 本契約の前に公証人の元で仮契約を結ぶが、その時買主は売買総額の10~15%を前金として売主に払う。本契約まで3か月以上かかるが、もし途中で気が変わって契約を解消したい場合、それが買主であれば前金は相手に流れるし、反対に売主であれば前金×2(20~30%)を買主に払わなければならない。これは中々よくできたシステムだと思う。


 ひょんなことから知り合った仲介業者Nさんと馬が合ったことや妻の内助の功、小生の冷静な判断等プラス要因が重なり、思った以上の利益を上げることができた。

 最終収益はいくらかって?それはともかく(笑)。よしこれからは不動産一本で行こうかと思ったこともあった。·····が結局やめた。

 その理由は私を含めて博打にすぐ熱くなる人間ほど、ヘタを打った場合、その反動が強く強烈な精神的打撃を受けるだろうとビビったのが一つと、もう一つはこの仕事をとことん極めてやるとまでは情熱が湧かなかったからである。

 そういえば強盗団の糞野郎どもに頭と脇腹に銃を突きつけられ殺されかけたのも、必然か偶然か、治療と不動産の二刀流でバタバタしていた前後だった気がする。

 人には各々向き不向きがあり、一つの仕事に打ち込んで力を発揮するタイプもあれば、複数の仕事を掛け持ちして活躍するタイプもある。どちらが良い悪いでなく、自分の場合強いていえば前者かなというだけの話だ。


 今は本業一本で夜ぐっすり寝ているので、人生万事塞翁が馬ということでしょうか。


 了