アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

社会通念(暗黙のルール)論

 パラグアイはじめ南米諸国では、見た目で人を判断し、それで応対がガラリと変わることがある。

 もし銀行やレストランで不愉快な扱いを受けたくなければ、きちんとした格好で行く方がいい。草履よりも靴を履いて行った方が無難だ。南米はラフなイメージがあるかも知れないが、案外身だしなみや足元はシビアな目で見られるのだ。

 それが現地の社会通念(暗黙のルール)なので、「何故か?」と言われても「そういうものだ」としか言いようがないが、これも国によって若干温度差はあり、一例をあげるとパラグアイとアルゼンチンでは、一昔前まで後者の方がより厳しかった印象がある。

 多分それはアルゼンチンは、国民の殆どが数世代前にヨーロッパ(特にイタリアやスペイン)から移民してきた子孫で成り立っているので、昔のヨーロッパの悪しき階級社会の影響を強く受けているのに対し、パラグアイは国民の90%がインディヘナとスペイン人の混血(メスティーソ)で構成されているため、旧世界の価値観がそれほど地元文化に浸透しなかったからではないかと勝手に憶測する。

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Parque Guasu

 30年前初めてブエノスアイレスを訪れた際、イカゲームみたいなジャージを着てタンゴショーを観に行った(泣)。あの時の居心地の悪さは、ほぼトラウマになりかけたが、京都の「ぶぶ漬けいかかどす」と言われて空気の読めない人が「はあ、いただきます」と言った時に、両者が陥る気まずさに少し似ているかも知れない。
 一言京都の名誉のためにいえば、本当はお茶漬け伝説は存在しない。しかし京都人に物事をはっきり言わぬ腹黒い奴が多いのは事実だ。統計を取った訳ではないが。
 

 畢竟、外国で生じる誤解というものは、言葉による意志疎通が困難だからというよりも、その社会通念から外れた行動をとることによって起きる確率が高いというのが、小生の長年にわたる南米生活から得た結論だ。

 たとえ好き嫌いはあっても、どこの社会通念が優れているとか劣っているとかではなく、国が違うとその価値観は変わるのだということを、頭の片隅に置いておく。すると異文化の中でも「郷に入っては郷に従え」と柔軟に対処できるものである。
 


 インターネットを観ていたら、へずま某とかいう山口県防府市出身の迷惑系 you tuber (そんな職業あるのかね笑)を見つけた。食料品店でお金を払う前に商品を食べるところを動画に投稿する筋金入りの迷惑者のようだ。

 しかし彼の悪行よりもうんざりしたのは、SNS 上のコメント欄で誹謗中傷を展開する連中である。これは世界中のあらゆるネット環境に存在するゴキブリ現象だ。
 そもそも実名者を匿名で非難することが卑怯だし、その低能な論法は、〈お代官様の悪行には口をつぐむが、百姓が藁を一本盗んだ場合は容赦なく責める〉的な不公平さを感じる。


 パラグアイでもスーパーのレジで精算する前に、商品を開けてボリボリ食う本家本元「へずま」たちが多い。最初目の前で見せつけられた時はびっくりしたものだ。まあ赤の他人なので放っておくが、実の息子であれば張り倒してやるところだ。

 仮に防府のへずま某やネット弁慶たちがパラグアイに住めば、前者は平穏無事に過ごせそうだし、後者からはもう少し多様性に富んだ奇抜な意見が出るのではないかと思うと残念である。
 但し彼の迷惑系 you tube は、当地ではインパクトに欠けるのでバズらないと思うが。