アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

誰も言わない「オールインクルーシブを100倍楽しむ法」

九月下旬から十月上旬にかけてメキシコのカンクンへ行った。三年ぶりの家族旅行だ。

カリブ海の日の出

カンクンといえばオールインクルーシブ。その中でもピンからキリまであるそうだが、今回は諸事情により〈大人専用〉ピンの方へ行った。

プライベートビーチのデッキチェアに寝転んで酒を飲み、身体が火照ると、海で泳ぐ。眼前のカリブ海はこの時期海藻が多かったが、まあ仕方ない。
最新式マシンを装備したジムでトレーニングした後は、ジュースバーで緑色のジュース(いかにもビタミンC がありそうだ)を飲み干し、ホテル内に数ヶ所あるレストランで新鮮な魚介料理や南米風ステーキに舌鼓を打つ。
どの料理も美味しかった。それがいつでも食べたい時に食べられるのである。スタッフのキビキビした働きぶり、フレンドリーな接客にも感心したものだ。

このような「漂えど沈まず〈トレーニング→飲み食う→遊ぶ〉」生活を一週間繰り返した。

一週間も居たら飽きただろうって?
いや全く飽きない。それどころか更にもう二週間延長したかった位だ。


オールインクルーシブとは〈旅行代金にホテル内での飲食や施設の利用料金が含まれているので、宿泊中の出費を気にすることなくホテルライフを楽しむ〉サービスだが、本当に滞在中一銭も出さなくていいのだろうか。

上記の自問自答は、これといった結論を出すこともなく、何となく今日にまで至ったテーマだ。それがどうしたと言われても、いや別にとしか言いようがないのだが。さて。


学生時代、京都松尾大社の団子屋でアルバイトをしていた。そこは立命館大学柔道部の松野先輩の店だったからだ。日曜日や祭日の忙しい時は、柔道部員の一、ニ回生は助っ人として駆り出されるのだ。

たまにヤクザが若い衆を連れて、団子を食いに来ることがあった。その帰り際親分が「兄ちゃん、コーヒーでも飲めや」と千円札をくれるのである。異様に張り詰めた空気の中で、嬉しさを隠せず、口元がニヤニヤしてしまう何とも言えない時空間だった。

その情景を、それもカンクンへ行く前日に思い出したので、果たしてこれは小生もあの親分のように振る舞え、というお告げのようなものだろうか ?と気になった。

いちいちそんなことで悩むのも詮無きことだが、結局短パンのポケットに一ドルの札束を入れておき、旅行中は有難うと思った時に躊躇することなく、かつさりげなくチップを渡すよう心掛けた。

Playa Mujeres

その結果どうだったか? 

①自分の気持ちに余裕が生まれ、心底旅行を満喫した。この心境こそが、長年自分の追い求めていたものだった(ちょっと大袈裟かな)。

②ホテル滞在2,3日目から我々に対する「おもてなし」が、明らかにグレードアップされ始めた。

例えば VIPスイートルーム専用の備品(スイスの高級メーカーチョコレートとか、フランスのコニャックとか)を「内緒にしといてね」と我々の部屋に置いてくれたり、日本料理レストランへ行くと、メニューにはない船盛りの寿司サービスを受け、周囲のテーブルの羨ましそうな視線を一斉に浴びたものだ。

ホテルで働く人達は、きっと客の情報をお互い共有するのだろうと思う。「○○号室の客は、見かけは金持ち風だが、その実しみったれた奴」とか「○○号室の東洋人の紳士、やたら気前がいいが、パラグアイのさぞかし偉い武道家に違いない」とか。たぶん(笑)。


一言アドバイス)  カンクンのオールインクルーシブをより満喫したいのであれば、気前よくチップを放出する方が、色々相乗効果を生み、もっと楽しく過ごせる。正に「金は天下の回りもの」である。

しかしあなたが「それではオールインクルーシブの意味がないではないか。俺はびた一文チップなどやるか」という信念を貫き通されても、それはそれでいいのでは。
まあ好きにやって下さい。