アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

腰痛からの復活 ( 親友H君に捧げる)

正月第一週のその日も、仕事が終わってからジムへ行きダンベルローイングという、片手をベンチに添え、もう片方の手でダンベルを引き付ける運動をしていた。
すると急に腰が痛くなった。どうやらいつもの筋肉痛と違うヤバさを感じたので、トレーニングを早々に切り上げる。筋トレをやっていると段々取り扱う重量が重くなっていく傾向というか中毒性があるので、知らず知らずのうちに、自分の体力の限界を超えたのかも知れない。
二三日でよくなればと思っていたが、痛みはなかなか治まらない。それどころか日を追うごとに痛くなり、身体をちょっと動かしても激痛が走るようになった。

正に紺屋の白袴だ。(スペイン語にも "En casa de herrero, cuchillo de palo". という諺があり、直訳すると「鍛冶屋の家に木のナイフ」で、自分の専門のことで手抜かりがないつもりでも、ふとしたミスを犯すという意味)。
普段偉そうに治療家を名乗っている人間が、正直何やこの様はとがっかりした。しかし自分の身体を使って痛みを実体験できる機会到来と考えると、全く意義のないことでもないか、と自分に言い聞かせた。

①翌日マッサージを試みた(それも荒っぽいやつ)が、その後もっと痛くなった。ぎっくり腰など急性腰痛の場合、筋肉の炎症が治まるのに48時間かかると言われているので、24時間以内に身体を捻ったりするのはやはり時期尚早だ。
急性期の腰痛患者には、い)患部を冷やすこと。 ろ)楽な姿勢で安静にすることが、最善な対応だと思う。
ではマッサージは効かないのかというと、そうではなく例えば患部の炎症を持たない鈍痛の場合などには大いに効果がある。要は施術を受ける時期が適しているかどうかの見極めが大切だということだ。

②低周波治療機器を毎日30分ほど患部に当てて様子を見たが、(小生の腰痛には)あまり効果がなかった。とはいえ発作的に500ドルで買ってしまったものなので、捨てるに捨てられない。そっと目の届かぬところにしまって、このピリピリマシーンが記憶の片隅から消えることを期待しよう。

③二週間経っても痛みが変わらないと、ひょっとして不治の病にでも罹ってしまったのではないかと疑心暗鬼に襲われ始めた。もう世の中全て鬱陶しくなった。太宰治になりそうだ。

④それでも三週間目に入ると、「そもそもこの身体の主人は誰かと言えば俺ではないか。脳みそを大本営とすれば、四肢や内臓等全身は従順な部隊でなければならない筈。それを腰の野郎が叛乱を起こしやがって」と腹が立ってきた。よしおっとり刀で反乱分子を征伐しよう。デッドリフトでガンガン痛めつけてやろうか。どうせ毎日痛いのだ。これ以上痛くなっても構うものか。という考えがムラムラと起こってきた(笑)。
そこで三週間ぶりにジムへ行きみっちり腰を痛めてやった。
すると、はっはっは、次の日から少し楽になったのだ。こうしてまた筋トレが復活し、徐々に元の生活習慣に戻っていった。


今回の腰痛は何やかんやと全快するのに1ヶ月かかったが、精神力(気の持ち方)は決して侮れないものであると再認識。
慢性腰痛の人は往々にして「自分は元々腰が弱いから」と口にするが、それは既に腰が痛いのが常態だと無意識に肯定していることになる。

巷には身体を動かせという健康論に満ち溢れていて、それ自体決して間違っていないとは思うが、最も重要視すべきことは、それプラス気をしっかり持つことに尽きる。

自分の腰痛と真正面から向き合った暑い暑いパラグアイの夏だった。

46℃は流石にキツい