アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

昨今事情と『夢酔独言』

f:id:spqr020220:20200510033734j:plain

 昨日今日と朝方めっきり寒くなったので、遂に物置からストーブを引っ張り出した。ほんの三日前まで最高気温が37度あったのに、今朝は7度を切っているという具合で自律神経がおかしくなりそうだ。
 勿論このまま一気に寒くなるのでなく、又暑くなったり寒くなったりを繰り返して、南半球は秋から冬へ向かう。

 今月4日からパラグアイでは外出制限が少し緩和されたので、早速自転車でニューグアス公園へ行ってみた。ところが門番いはく「園内の散歩はOKだが、自転車で走るのはまだ許可されていません」とのこと。さて歩くのはいいが自転車は駄目だ、という料簡がさっぱり分からぬが、まあいいや。

 今や街を歩く人のほとんどがマスクを着用している。実際スーパーや銀行でもマスクをしていないと入店拒否されるのだ。2、3回マスクを家に忘れたことがあったのでその時は手拭いを顔の下にかぶったが、よっぽど怪しいではないか(笑)。


 「勝海舟の父」 勝小吉 の自叙伝である『夢酔独言』を先日偶然手に入れた。文体が江戸時代後期のそれで、当て字誤字も多くかなり読みづらかったが、読んでいくうちにぐんぐんのめり込んでいった。

 これは人生の大半を喧嘩と放浪で明け暮れた、ほとんど文盲に等しい「無名の下級後家人」が、その晩年(と言っても40歳の頃)に、思い立って文字を習い必死に自らの生涯やその思いを綴った本である。
 この著者のタガが外れた自由奔放な生き方に比べると、渥美清演じるあの「寅さん」でさえ並の常識人に思える程である(まあ映画の主人公と比較しても仕方ないかな)。

 何故それほどまで惹き付けられたのか。それは「いつでも死ねる覚悟」がある人間の持つ余裕と言うかふてぶてしさに溢れた文章に、最近の若い作家の作品では中々感じることが出来なかった 、直球ど真ん中の逞しさと読後の清々しさを感じたからだろう。

 この親父「孫やひこが出来たらば、よくよくこの書物を見せて、身のいましめにするがよい。おれが真似はしないがいい」と勝手なことを言って最後を締めくくっている(笑)。

f:id:spqr020220:20200510035953j:plain

 『夢酔独言』昨今の自粛自粛で心身が疲れている方にお薦めです。

 「コロナ自警団」関係者で神経が尖っている人も一読すると良いかも。
   (注) 冗談なので真に受けないように 。