アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

詐欺に引っ掛からない法

 開業したての頃、セールスウーマンが来たことがある。紺のスーツスカートをピチッと着こなした30歳ぐらいの女性だった。

 彼女の言うには「医療関係者による『組合』を作っているので加入しませんか。ガイドブックに名前を載せると貴治療院の宣伝になるし、メンバーはいざという時『組合』に守られるので、双方にとってwin-winですよ」とのこと。但し入会金その他諸々は先払いでという内容だった。

 それは妙案だと思ったので快諾しお金を払ったが、何とその日以降二度と連絡が取れなくなってしまったのだ。そのままドロンしたのか、それとも「組合」が急に(?)倒産したのか。( すでにこの展開を先読みしたあなたは偉い ! )
 貰った領収書は正規のものだったが、後から考えれば〈あの女〉確信犯のような気もする。そういえばやけに目の前で足の組み換えばかりしているなと思ったが••••まあ後の祭りである(泣)。

 300ドルを手品の如く簡単に巻き上げられたのが悔しかったが、元来熱しやすく冷めやすい質なのでいつしか忘れてしまった。
 
 ところが数年経って又同じような奴がやって来た(笑)。今度は男だった。話の内容も以前ヤられた手口と似ていて「組合に入りませんか。色々利点がありますよ」と言うわけである。
 当方一度火傷を負った身なので、笑いを堪えながら話を聞いた。さてこいつをどう捻り潰してやろうかと考えながら••••


 果たしてどうすれば詐欺に引っ掛からないようになるのだろうか。

 まず第一に相手の目的を想像してみることだろう。この男(若しくは女)は何故これ程熱心に勧めてくるのか。それによって得るものは何かを考えるとよい。
 すると例えば「貴方にだけそっと教えるが、この株は絶対上がりますよ」と言われても「もしそれが本当ならば誰にも言わず自分でその銘柄を買えば良いではないか。うーんこいつ怪しい」となる。それか単にノルマをこなしたいだけだなと気付く筈だ。

 第二に直ぐ回答せず一旦保留するのも一考である。夜中必死に書いた完璧なラブレターが翌朝読むと何とも間抜けな内容で思わず破り捨てた、あれと同じ理屈で時間を置くともっと冷静な見方が出来るものだ。
 決断を早まってはいけない。それでもしつこく相手が即決を迫るようであれば何か裏がある。
 但し「その一瞬」に決定を下さないと逃げてしまう好機も長い人生しばしばあるので、その判断は正直難しい。

 と偉そうな事を書いてみたが、詐欺に引っ掛かる時は、どう足掻いても引っ掛かるような気がする。
 「オレオレ詐欺」はじめあらゆるイカサマがこの世から無くならないのも、人間はしっかりしているように見えて、どこか間が抜けているところもあるからだろう。

 結局それまでの人生で積み重ねた「経験」が土壇場でものを言うのかも知れません。

 ということは遥か昔に失ったあの300ドルも授業料として自分に投資したのだ、と思えば安い買い物だったと言えなくもない(笑)。