アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

ローマは一日にして成らず(問診の注意点と治療成功の秘訣)

 

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Coliseo de Roma(ローマコロッセオ)
 30年近く整体師として働いてきたので、好むと好まざるとにかかわらず、独自の考え方や技能(スキル)を培ってきた。それらについて、語りましょう。
 
 一番始めに行うのが「問診」だが、以下の三点に気をつけている。

①自分の体調を管理する。
 勝負は最初の挨拶から始まっている。患者の目を見てしっかり挨拶しよう。鬼の柔道の木村政彦は試合三日前に爪を切ったそうだ。つまり前日や当日に切ると握力が入らなくなるからとか。用意周到、正に「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」である。

 例えば明け方まで飲みすぎて目の下にクマができた状態で、患者と向き合うのは(その上酒臭い息を漂わせて).....既に終わっている(笑)。

②穏やかに患者と接する。
 相手も思いの外、施術者の一挙一動を見ているものである。もしあなたが初めて行った治療所で、目の前にいる白衣のおっさんが挙動不審だったらどうする? さっさとその場から逃げだしたくなる筈だ。

 ほとんどの方は何らかの不安や緊張を抱えて来院するので、施術者は先ずそれらを解きほぐす役目がある。
 そのためには出来るだけ自然体で接するのが良い。尊大になるのでも卑屈になるのでもなく。

③患者の訴えは途中で遮らず最後まで聞く。
 開業したてのころは、問診に時間を取られ過ぎると相対的に治療時間が減ってしまうので、内心イライラしたり途中で強引に打ち切って治療を開始した事もあったが、これは最低である。
 「この人は私の痛みには興味がないようだ。どうやら今日はハズレに当たったな」と患者の思考は展開する(泣)。
 勿論これも程度もんで、脈絡のない話を延々と続ける人も中には居るので、あくまでもイニシアチブは自分が握り、脱線しないようにする必要はあるが。

 他にも色々あるだろうが、今思い浮かぶのは、この①②③である。
 これらを疎かにすると患者と治療者の間で信頼関係を築く事ができない。つまり基礎と土台を手抜きした上に、家を建てようとするようなもので、その結果は言わずもがなである。

 幾多の失敗や経験を踏まえ「問診」を特に重視するようになった。実際この時点で患者と良い信頼関係が築ければ、その後の治療でも上手くいくことが多い。
 ではどうすれば上記に挙げた注意事項を「自分を偽ることなく」行えるようになるのか。それは相手に慈悲と敬意の心(愛)を持つことだろう。まあ言うのは簡単だが。

 今まで自分が仕事に恵まれてきたのは、「過去を振り返って悔やむのでもなく、未来を憶測し先を読もうとしたのでもなく、今目の前にいる『この患者さん』に誠実に向き合ってきたから」かなとも、最近思う。

 日々の積み重ねが大切なのだ。