アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

手技療法の選び方

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写真と本文は直接関係ありません (漓江下り1986年)

「オステオパシーとカイロプラクティックではどちらが効くのですか」

 共に19世紀後半北米で考案された手技療法である。ロバート・フルフォード博士の『いのちの輝き』によると「オステオパシーの源流は日本の柔術の整復法ではないか」という見解もある。
 オステオパシーもカイロプラクティックも先ず症状の原因を見つけ、各々の手技によりアプローチしていく、というやり方で、似たような手技が多い。ただ「治療理念」と言うか「思想哲学」に違いがある。
(この部分は説明が面倒くさいので興味があれば本で調べて下さい)

 オステオパシーは間接法(関節の動きのある方へゆっくり持続した力を加えることにより運動制限を解放する)が強みで、虚弱体質、高齢者、若しくは緊張が解けない患者に特に向いていると思う。症状を悪化させる確率の極めて低いソフトなテクニックである。

 それに対してカイロプラクティックの直接法(関節の動きのない方へ瞬間的な力を加えることにより運動制限を解放する)は即効性に特長がある。所謂ボキッと矯正するあのテクニックだ。
 間接法に比べると強力なので「この患者に使用しても大丈夫か否か」の見極めが大切だ。闇雲に誰でも彼でも使用すると、却って症状を悪化させる可能性があるので要注意。

 よって私の回答は「患者の条件により最も適した療法は異なるので、どちらが効くかという比較はナンセンスでしょう」

 一例としてオステオパシーとカイロプラクティックを挙げたが、手技療法は古代より世界中のあらゆる地域、民族で行われてきた〈素手だけで行う〉療法で大変奥が深い。ピンからキリまである。
 
 昔とある整体院で「当院長は○○派なので△△派は認めていない。その空気を読んで忖度せよ」と念を押されたことがある。まだ見習いの頃だ。
 もう一人の私が「己の信念を貫き、思っていることを言え」と私に囁くので「先生、私は△△派についてこう思うのですが」と尊師に尋ねた。すると即刻破門を言い渡された( それにしても言い方が古過ぎる。破門 ? 思わず吹き出した)。
 本当にそのカルト教団には感謝している。それ以上自分の貴重な時間が無駄にならなかったので。

 治療家のなかには、何故か自分の得意分野以外になると、拒否反応を示す人もいるようである(少数派であると願いたい)。
 はて「小生はおつむが弱いので柔軟思考は苦手であります」という現れか。まあどうでもいいけど。どういう反応をするかにより、その人間の隠された側面に触れることが出来るかも知れない。

 良い治療家を見つける一つの目安として、その人の専門外の療法についてどのような意見を持っているのか尋ねるのもよいだろう。勿論そこに患者と治療家双方の敬意がなければ上手くいかないのは言うまでもない。
 
 【追伸】その結果どのような展開が待ち受けていようと(ポアされようが)、私は責任を負えませんので悪しからず。