7月に入り仕事も少しずつ回復してきたが、依然としてコロナは終わりそうにない。それどころか外出規制が緩和され皆気も緩んだのか(泣)、どんどん感染者数は増える一方である。
専門家諸氏は様々な意見を述べるが、結局のところ前代未聞の出来事なので、誰も分からないということが分かった。
とにかく手洗いを励行して、公共の場に出るときはマスクを着用しなければならない、つまり自衛しなければならないということだ。
さて1995年にパラグアイ・アスンシオンに整体治療室を構えた。初めの半年はほとんど患者がいなかった。日がな一日読書をしていた。
ある日 8歳の男の子が両親に連れられて来た。とにかく落ち着きがなく、小児科医や児童心理学者を訪ね歩いたが効果がないとの事。医学的に言うと注意欠陥多動性障害というらしい。
臨床経験の不足からくる不安はあったが、チャレンジしてみたいという好奇心がそれを上回り「まあやってみましょう」と引き受けたのである。
主に頭蓋骨と仙骨を緩めて呼吸を取り戻す事を主眼においた治療を試みた。治療中その子は眠りに落ちガーガーおっさんのようないびきをかいていたが。
数回通ってもらい、2ヵ月後には気分が落ち着き、両親曰く勉強にも集中出来るようになったと言われた時は流石に嬉しかった。
そして何故かこの頃から急に患者が来るようなった。多くの人が「ドクトル・ピケマル」の紹介で来たと言う。
はて聞いたこともない名前だ。誰だろうと気にはなったが、まあいいやと放っておいた。
暫くして分かったのは前述の男の子はホメオパシー治療にも通っており、Dr. ピケマルはそこの先生であったのだ。キルリアン写真を撮ると患者の脊柱が改善していることに驚き、両親に尋ねて彼が並行して「カワムラ治療所」に通っている事を知ったそうだ。
それからDr. ピケマルの患者がどんどん来るようになり、またそのクチコミで更に患者が増えていったのだ。正しく恵比寿さんである。
パラグアイでホメオパシー治療の研究と実践に生涯を捧げたフランス人マーク・ピケマルは、私とほぼ同世代で今までの人生で巡りあったなかでも「裏表がない真に尊敬に値する男」であった。
昔柔道をしていたと言うので、では得意技を一発かけてくれと絡んだことがある(笑)。酒の席での話だ。
ところが芝生が濡れていたからか、それともやはり彼の技がキレたのか、大内刈で背中からしたたかに叩きつけられ暫く起き上がれなかった。よく覚えている。
しかし2014年4月に逝去した。享年55歳。
彼の治療に対する真摯な姿勢を垣間見て、それではこちらも負けじと勉強し頑張ることが出来た。彼と出会ったことが今日までこの仕事を続けてこられた要因の一つでもあると思う。
実は昨日来た患者が十数年ぶりの再来で、元々はこの人もドクトル・ピケマルの紹介で当所へやって来たことを思い出し、懐かしくなったので記しました。