アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

ブエノスディアス

 

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Avda. Autopista Silvio Pettirossi

 良好な人間関係を築く上で最も大切なことは、気持ちを込めた挨拶を交わすことだと思う。
 つまり相手の目をしっかり見て「ブエノスディアス」と言い、がっちり握手する事である(昨今はコロナのせいで握手も命懸けですが)。
 特に初対面の場合第一印象はこれで決まると言っても過言ではない。目の前の相手が果たして自分の仲間であるか否かの判断が瞬時に下されるのだ。

 日本では客は店員に必ずしも挨拶を返さないが、南米では客であろうと店員であろうと挨拶を疎かにする事は出来ない。それを怠ると無礼で横柄な奴というレッテルが貼られるのである。

 ある人の旅行記ブログを読んでいたらアルゼンチン・ブエノスアイレスで人種差別を受けて云々とあった。
 成る程ブエノスアイレスは「南米のパリ」とも言われる大都会なので、住民がほどほどの距離を保って生きる処世術が発達しているというか、街を行き交う人々にどこかよそよそしい感じがあるのは否めない。正しくパリのイメージである(行ったことないけど)。
 どの世界でも差別主義者というか糞野郎は居るし、その場に居合わせなかった私がどうこう言うべきではないが、どうも彼のブログで書かれていたことが信じ難かった。
 というのは私自身何度も訪れ、かの有名なケチャップ強盗未遂事件やタクシーのお釣りごまかしにはやられたが(泣)、この街で筆者が語るような理不尽な仕打ちを肌で感じたことは今までないからである。

 彼のブログによると「スペイン語が分からないので、現地ではいつも騙されまともに相手にされなかった」とかなりキレた様子だ。
 しかし問題は言葉が分からなかったからではないと思う、もとい少しはあるかも知れないが、文面から察すると、彼の場合人にものを尋ねる時「先ず挨拶をする」という最低限の「常識」すら欠けているので、単に(露骨に)シカトされたのではないかという気がする。
 それ以外にも・・・まあええわ。ともかく読んでいて共感を覚えず却って腹立たしくなったので「フォロー」しなかった(笑)。

 確かに南米では太った人に「ゴルド(太っちょ)」とか、目の細い人に「チノ(中国人)」とか・・・放送禁止用語真っ青な事を平気で口にする(そういう発言をするのは教養の低い連中であり、デリカシーのある人は勿論言わない)傾向が一部にあるが、「社会構造や文化にがっちり組み込まれ個人ではどうする事も出来ない『人種差別』」とは違うように思う。
 まあ全くないとは言わないが、各国とも移民が占める割合が旧大陸に比べて多く、色々な人種が混ざりあって構成されているので、単一民族国家に比べると人種の議論をしても沸点が高いのだ、多分。

 ラテンアメリカには「人種差別」よりも「階級差別」が21世紀の今日でもある。これはこれで深刻なテーマだが今回は端折ろう。
 
 最後にコロナが終わったら海外へ行こうかと考えている若者に一言。
 異国のと或る店で君がいつものコンビニでやるように、ぬーっと無言で入り店員に声をかけられても返答せず視線も合わせず、あたかもゾンビのように振る舞ってみよう。
 ショットガンで撃たれることはまずないが、モップで滅多打ちにされ店から追い出されるという貴重な体験が出来るかも。