アスンシオン市内を走るバスを、当地ではコレクティーボ若しくは(オムニ)ブスと言う。近頃はバスに乗ることも滅多になくなったが、若かった頃はよく乗ったものだ。
日本であれば絶対に車検を通らない代物だが、まだ現役で走っている。ボンネットバスも多い。サスペンションが悪く乗り心地は最低である。
かつて股関節痛に悩まされていた時、バスを利用して体幹にあるインナーマッスルを鍛えたらどうかと考えたことがあった。
振動トレーニングマシンからヒントを得たのだが、その結果は・・・走っているバスの中で手摺を掴んでつっ立っているだけで、さしたる効果もなく失敗に終わった(泣)。
だが心が和むこともある。
それは妊婦や子供を抱いた婦人、または老人が乗りこんでくると、座っていた人(男性が多い)がすっと席を譲るパラグアイではごく日常の光景を目にすることだ。車内に優先席などはないが、そんなものは不要。
いつまでもこの優しい慣習は続いていって欲しいものだと思う。
以前であれば若い女性にもさっと席を譲ったものだが、最近はパラグアイ人男性も狸寝入りやスマホを見るふりをして(笑)シカトするケースが増えてきている。ジェンダーレスというやつだろうか。
さて昔夜中にコレクティーボに乗った時のこと。
乗客はケバい格好の若い女性三人が後方に座っていただけだった。どことなく異質の空気を感じたが、別に気にも留めなかった。
聞こえてくるのは彼女らの他愛ない会話なのだが・・・・やけに低い声だなと・・・・暫くして気付いた!あっ連中は女ではないと。
見直してはいけないと思ったが、つい好奇心に駆られて振り返ってしまった。
パッと見は女だが、よくよく見ると余りにも完璧に女らしい格好をしているので、却って違和感を醸し出している。揃いも揃ってパンツ丸見えのミニスカートとか。う~む。
すると「何じろじろ見てるんじゃい !」と真ん中の親分格が中指を立てて挑発してきた。
ここで「やるのか ! 」と言い返したら喧嘩になるし、無遠慮に見つめたのは当方であったので「少し声のトーンを落としたらどや、お兄さん?」と言った。
これも聞き様によっては結構際どい発言だが、子分衆の二人がプッと吹き出しそれで一触即発を避けたのだ。
「 mucha suerte (頑張れよ)」
「vos tambien (お前もな)」と別れたことを覚えている。
コレクティーボというとあの時の妙な体験を思い出すが、オネエさん達も今頃はもういいおっさんになっているだろう。
まあどうでも良いと言えばどうでも良いことなのだが。