アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

成功の法則

Parque Guasu 朝から暑い
 今年一月はパラグアイ史上最高ではないかと思うほど暑かった。連日40度を越える猛暑にほとほと参り、仕事も手につかなかったほどだ。二月も焦熱地獄。
 そして三月に入ってからどうかというと、相変わらず暑い。しかし身体がもう気候に慣れたのか、体調はぼちぼちである。慢性関節炎には良いのかも(笑)。


 以前ある男に「先生も(私のこと)、若くて綺麗な女性が患者として来るとやっぱり嬉しいでしょう」と言われた。某日本大使館で何かのパーティーの席上だったと思う。

 地元日系人社会の顔役らしいが、初対面の相手に向かって話す切り出し方としては、いささかリスペクトに欠けるなと思ったので、わざと聞き流していた。しかし奴さんひつこく「本音はどうです」と絡んでくる。何やねんこいつは。

 こんな無神経の卑しい人間にも妻子がいるのだろうなと想像すると哀れに思ったが、まあ赤の他人なのでどうでもいいことだ。仕方なく「患者の老若男女は全く気になりません。何人であれ常識のある人であれば結構です」と言った。

 小生とて無論聖人君子ではないが、こと仕事に関する限り、上述のスタンスだ。閑話休題。

 

二月某日の午後
 
 南米パラグアイのアスンシオンで、30年近く整体治療に携わってきた。その間成功や失敗を含め幾多の経験を積み重ねていく中で、〈無心の境地まで到達すること〉が治療における成功法則の一つではないかと思うようになった。

 それは治療を進めていく中で、これはよくなるぞと確信する時があるのだ。頭の中にインプットされた過去の様々な症例に接した対処法のエッセンスが、ふとビンゴ ! と出てくると言おうか、それとも内なる声がささやくのかは分からないが。当然その時は雑念は消えていて、五感も冴え渡っているのが普通だ。

 柔道で相手をスパッと放った瞬間など、その前後の動きを覚えておらず、後から考えると勝手に身体が動いていたという状況があるが、それに近いのかも知れない。
 
 すると治療の結果も大概満足のゆくものになる確率が非常に高い。この無心の境地は勝負事や他のビジネスでも同様に力を発揮するだろう。

 ただ世の中例外のない規則はないように、いかに自分では最高の治療ができたと思っても、効果が得られず痛みが取れないケースもある。その時はどうするか ?
 そういう場合は「過去を反省するのはよいが、引きずってはならない」と将棋の米長邦雄が言っていたように、また明日から頑張ろうと割り切るのみだ。


 自分の課題に誠意を持って取り組み、目の前にある山を越えてその向こう側へたどり着こうと頑張った者に対して、100%とは言わないが、かなりの高確率で我々に微笑んでくれる〈成功の法則の神さま〉が、この世には存在するような気がするのである。