アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

金物屋にて

 近所の金物屋にコンセントプラグを買いに行った。
 新しく買った洗濯機の差し込みプラグの形が所謂規格外で、コンセントの穴に入らなかったからだ。

 この店は今までに何度か来たが、①品数が揃っている。②客も多いので、信用が置ける(気がする)。③従業員の態度がきびきびしている。等の理由でお気に入りである。
 入ったら番号札を取りその順番ごとに店員が対応するシステムで、大抵若い人が応対してくれるのだが、私の番になって何故か奥の帳場でドンと構えている御大自ら、少し重そうな足どりでやってくるではないか。他にも店員はいるのに何故だろうといぶかしんだが、まあいいかとそれ以上深く考えなかった。

 見るともなく真近で顔を見ると、何処かでこの人を見たような気がする。それもごく最近のような。「あ、これはヤバいナ」今しがた頭に入ったことをコロッと度忘れした時に感じるあの焦りである。遂に記憶力も落ちたか。そう思うと余計気になり、「えーと何処かでお会いしましたっけ」などと間抜けなことを尋ねてしまった。
 すると御大はニヤリと笑って「本当に覚えてないのか? 半年前股関節痛であんたの治療所へ行ったんだが。その時この状態では外科手術をした方がよいと言っただろう。あれで吹っ切れて来週には手術する予定なのだ」と。

 あーそうか! 一度来院された患者さんだったのだ。向こうはすぐ気付いて、近づいて来たのだろう。であれば話の口火もそちらから切ってくれたらよかったのでは(笑)と一瞬思ったが、案外シャイな人で言い出すきっかけを探していたのかもしれない。

 暫く四方山話をし最後に「いやどうか心配なく。手術後はリハビリを2~3ヶ月しなければなりませんが、必ずや痛み無しで歩けるようになりますから。私も3年前同じような手術をしましたが、ホラ今はこの通り全然痛くないですよ」 
 高校時代アンコ型選手に強引な払い巻き込みを食らい脚を捻ったのがきっかけで、その後しばしば股関節痛に悩まされてきたので、この症状に関しては一家言あると自認している。

 「いや~先生あの時スパッと言ってくれてありがとう。良かったよ」
 「御主人あなたこそお大事に( ¡Que se mejore pronto! )」というやり取りをして店を出た。
プラグも無事買った。

 何となくほのぼのとした気持ちになった出来事でした。