アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

天命を知る

 一度殺されかけたことがある。
 こう言うとインパクトが強すぎるので、九死に一生を得たことがあると言うべきか。

 2003年7月のことだから今からもう17年前だ。夜九時頃知人宅を探している途中強盗団に襲われた。彼らの目的は私が乗っていた新型ピックアップトラックである。いきなり装甲車タイプが急接近し、ショットガンやピストルを持った三人組が飛び出してきた。
 これが素手であれば叩きのめしてやるところだが、如何せん飛び道具の前では「ホールドアップ」するしかなく、私は後部座席の真ん中に左右から悪党AとBの銃口を脇腹に突き付けられたまま、子分Cが狂ったように運転するトラック(元私の)に再度乗り込まざるを得ない羽目になった。

 この空間で過ごした(?)時間が長かったのか短かったのかはよく覚えていない。ただ人生の中で一番居心地の悪い数分間だったことは確かだ。
 「これは夢か。現実とは認めたくない」という思いが暫し交錯した。そして人気のない空き地で車が急に止まり、私は下ろされた。どうもこれは最悪パターンではないか。いや、もう吐きそうになる。
 不思議だったのは殺されることに対して恐怖を感じなかったことだ(パニックを回避するため脳の一部の回路が勝手に遮断されたのかも知れない)。ただ銃弾が身体にのめり込んできたらこれは熱いやろなーという妙な考えが頭に浮かんだ。目の前にいるこいつらの気まぐれで引き金を弾かれたら、俺は簡単に死ぬのかと思うと流石に思考もそこでストップした。
 そしていよいよこの糞野郎に撃たれるかと思ったまさにその時、奴らは踵を返し即車に乗り込み去っていった。怒りと悔しさで興奮止まず三日三晩ほど眠れなかったが、四日目はバタンキューと眠りこけた(笑)。

 現場周辺(Shopping Del Solの裏)は強盗団がよく出没する所で、盗難車はやられたその日のうちにボリビア国境まで持っていき捌かれると後で聞かされた。正しく後の祭りであるが。〈注〉その当時です。
 こんな糞のような経験はしないに越したことはないが、案外人間の生命は儚いものだなと思うようになった。

 結論)もっと今を大切に生きていこう。