アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

郷に入っては郷に従え

 こちらの人は時間を守らない。こう言い切ると語弊が生じるが、〈約束時間厳守〉の認識度が、日本とは違う。
 開業したての頃は5分でも来院の遅れた患者の治療を断っていた。それは当時予約を詰めて患者を入れていたので、時間のズレの皺寄せが次の予約をした患者に及ぶのを避けるためである。
するとどうなるか?
①患者はたかが5分遅れただけで何故治療を
 拒否されるのかと怒って帰る。
②こちらも腹が立ち面白くない。
③実入りが少なくなる。
④益々気が滅入る。
 と負の連鎖が始まっていく(泣)。

 そこで反省の末経営方針を変えました。
①10分迄の遅刻はまあ大目に見る。
②治療と治療の間少し休み時間を挟む。
③いつも第二プラン、第三プランを用意する。
 先ず朝起きたらその日の予定を紙に箇条書きに記し、目の前に張っておく。仮に患者が、予約をすっぽかしたり少々来院が遅れてもこれで自分の時間を有効に使えるようになった。

 翻って考えると自分が約束時間に遅れた時に、どのパラグアイ人からも「お前は10分遅刻したから問答無用、さっさと帰れ」と言われたことなどなかったではないか。このことに気付いた時まさに一本取られたと思ったのだ。ここぞと踏み込んだ大外刈がスコーンと大外返しを食らって脳震盪を起こしたような感じ、とでも言いましょうか。
 こちらの人々はおおらかで仮に時間に少々遅れても許してくれる。つまり寛容の精神を持ち備えている(別の言い方をすると時間にルーズとなるが)と言えよう。
勿論全員が全員そうだというわけではなく、きちんと時間を守る人も当然のごとくいて、最近の患者さんはそういう人が多くなりました(笑)。

 結論)「時間厳守」と「寛容の精神」はなかなか両者相容れない概念のようだ。