アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

何故整体師になったのか(思想編)

 今だから白状するが「骨をボキボキ鳴らした位で痛みが治るとは、プラシーボ効果ではないか。鰯の頭も信心からと言うあれかな」とカイロプラクティックに少し偏見を抱いていたのだ。
 「骨格を矯正するから治るのではなく、矯正はあくまでもその患者の自然治癒力を妨げる神経圧迫を除去するための手段」と学校で教わったが、何となく分かったような分からないような理屈ではある。

 そもそも生活の糧を得る為に、飛び込んだカイロプラクティックの世界だが、段々勉強をしていくうちにハマっていき、何とかしてその真理を極めたくなった。
 その為学校の授業以外に、他流派や他療法の講習会に積極的に参加したものだ。

 当時米国で活躍されていた中川貴雄先生や大場弘先生、オステオパシーの古賀正秀先生らの講義は特に印象に残っている。
 
 「カイロプラクティックにはテクニックが多数あり、治療哲学は共通しているが、その原理はバラバラである。そこで治療原理が統一されているオステオパシーに関心を持ち、頭蓋療法を研究して、独自の〈身体呼吸療法〉を作り上げた」大場先生のスタイルにとても共感を覚えた。


 学校卒業後は神戸の前田光彦先生に師事したが、先生も非常に研究熱心な方で、オステオパシーの造詣が深かった。この自由な環境の元で修業出来たことは本当に良かった。とても感謝している。

 当初ディバーシファイドやガンステッドという代表的カイロプラクティック技法のみで治療にあたっていたが、その後頭蓋仙骨療法を独学で取り入れ、呼吸との関係を最重視する〈自分流療法〉の土台作りが出来た。

 これで自分の治療の守備範囲が広がったと思う。何分前田師から受けた影響が大きかった。


 治療家の中にはあくまでも一つの流儀を信奉し、とことんその道を探求するタイプの人がいる。私は反対で良いものであれば、流派に拘らずどんどん取り入れるという主義である。
 勿論どちらが良いとか悪いとかではないのだが、仮に柔道で例えると、もしキレる内股を持っていれば、それのみでも勝てるだろうが、その上に担ぎ技や足技も身に付けると、もっと安定した勝ちに繋がると思っているだけだ。


 整体師として経験を積めば積むほど、やみくもに矯正することは減っていった。これは多くの治療家に共通するようだが、必ずしも矯正イコール治療ではないのを、実際に体験するからだ。

 患者の中には「今日はボキッ(矯正音)が無かったが、上手く(治療は)出来たのだろうか」と聞きたそうな人もいるが、そういう人には「これこれしかじかなので大丈夫」と説明し安心させる必要がある。

 しかしそれでもボキボキを懇願するマゾオヤジもいて、では(そこまでひつこく言うのであれば)見事に介錯してくれようかという気になることも、なきにしもあらず(笑)。