アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

股関節体験記(中)

 常に痛みを感じるので毎日の生活が面白くない。その内スーパーへ買い物に行くのも、家人とその辺を散歩するのも嫌になってきた。歩くと痛みが増すのだ。
 遂に隣の家へ行くだけなのに途中立ち止まらないと痛くて歩けなくなった時「よし手術を受けよう。それも今すぐ」と腹を括った。 
 2017年の4月だ。

 医者は以前から「レントゲンを見る限り何時かは手術をしななければならないが、まあ先伸ばしできるのであれば(今は少々我慢しても)その方が望ましい」と言っていたが、この見解には納得し難い。アホかと言いたい位だ。

 何故ならば「いずれしなければならないのであれば、さっさと手術を済ませ少しでも早く痛みから解放された方が良い。例え手術が失敗してもその結果を甘んじて受け入れよう。残りの人生を(意味のない我慢をして)マゾ的な日々で送る必要が何処にあるのか」と考えるからである。

 早速数名の整形外科医を訪ねた。
 そしてAlvaro Callizo(アルバロ カジッソ)先生に全てを託すことにした。

 第一印象で選んだ、のではない。無愛想な人で最初の診察で、ああこれは選択肢から外そうかと思ったくらいだ。だが私は人物を評価する際、愛想の良し悪しというのは余り考慮しない。
 最も重視すべき点はその人物に誠意があるかないかであり、彼はその点でわたしのお目にかなったのだ。因みに一番唾棄すべき輩は相手により態度を一転させる人間であろう。

 それともう一つ気に入ったのは私と大体同世代であり、何となく野暮ったい感じでスポーツマンとは言い難い雰囲気を醸し出していたところか(失礼)。

 それは徒然草も言っているが〈友とするにわろき者の一つとして病なく身強き人〉のようにあまりにも健康過ぎる人間は、往々にして病人や弱者の気持ちを汲むのに疎いところがあると思うからだ。

 数回にわたりミーティングを繰り返した。
 「人工股関節で一番値が張るが質の良いのはドイツ製、その他アメリカ製も同程度かな。ブラジル製や中国製はもっと安くなるよ。私はドイツ製が良いと思うのだがどれを使おうか」
 「先生、そんなところでケチるのはやめましょう。私の体内に入れるものなので(笑)。ドイツ製で良いのでは」

 手術一週間前、身体を洗う為の特別な殺菌石鹸を指定された。手術予定日も休日ではなく平日に行うよう日程調整した(手術スタッフが揃わなくなる事態を避けるためだとか)
 以下続く。