アスンシオンカワムラ新聞

パラグアイで整体治療に携わっています。日々思ったことを綴ります。

発声の効力を侮るべからず

 『ザ・ゲーム【RULES OF THE GAME 】』(著者ニール・ストラウス)を読んだ。
 サブタイトルに〈極上女を狙い撃つ、ナンパ師レベルをチェック〉とあるので、巷に溢れるナンパ本の類いかと勘違いされそうだが、人生の指南書と言っても過言ではない程為になることが載っていた。

 その中の一つに強運を呼び寄せる要因として「発声」があると言う。

 人は自分の身だしなみや信念若しくは行動といったものと、運を結びつけて考えるが、「発声」は案外見落としがちな視点である。
 確かに我々は普段から、その人物の姿を見なくても、声を聞いただけで「この人は誠実そうだ」とか「この人とは近づきたくない」と瞬時(そしてほぼ無意識)に判断している。

 良い発声=運を引き寄せる声を身につけるために避けなければならないポイントは、

①小さく不明瞭な声
②早口
③脳の屁
④抑揚感なく暗い声
⑤質問口調になる

とある。

 ①にならない為には、先ず姿勢を正して、腹の底から深く息を吸い込み、そしてゆっくり吐く。これを二度繰り返してから、相手に向かって言うのではなく2~3メートル上空目掛けて、声が弧を描いて相手を越えていくイメージで言うと良いらしい。
 初対面の時やここぞという時に使えそうなテクニックだ。通常声の目盛りを5で話しているならば、それを7まで上げて話すと良いとのこと。

 ②は血の気が多い時や精神的に追い詰められた時は、誰しも早口になる傾向がある。いつも自分をチェックし、話すスピードが上がっていることに気づいたら、深呼吸をしてペースを落とすとよい。
 早口は、ヤバイ局面になると決まってお腹痛で雲隠れするアベ某や、吉本の三流芸人の専売特許にしておこう。

 ③は"あの~"とか"え~と"等を指す。自信の無さの表れである。
 (注意)"アノ"はスペイン語で"肛門"の意味なので、スペイン語圏では連発するのは避けよう(笑)。

 ④はスガ某を思い浮かべると妙に納得。

 ⑤は自分の主張する意見の語尾が上がっていれば、相手に質問しているように聞こえ、結果的にあなたに決心がついていないような印象を与えるので、軽く見られる(舐められる)。
 以上。


 つまり外見の不細工さで人生の不運を嘆くあなたは、それは持って生まれたものなのだから、整形手術でもしなければ解決法は無い。
 しかし発声であれば自分の好きな迫力のある声の持ち主に注目し、その言葉使い、トーン、語りのスタイルをそのまま使い彼のセリフを反復することによって、今までのくすんだ声を、憧れの○○風に変えることは(ある程度まで)出来るかも。

 この僅かな努力が強運を掴むことに繋がれば、それはお安い御用ではないか。
 早速一週間前から、折に触れて実践しているが、手応えは何となくありそうだ(笑)。
 

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Parque Guasu Metropolitano


 とここまで書いていて、昔スペイン語のエステラ先生にも、上記の①~⑤はするなと言われていたことを思い出した。

 開業した頃スペイン語をもっと極めようと個人レッスンに週二回通った。別に語学が好きだった訳ではなく、喋れないと食い扶持を稼げないというシビアな問題があったからだ(泣)。

 協力隊で初めてパラグアイに来た時も、それなりにスペイン語の勉強を積んで着任したのだが、いかんせん付け焼き刃で、語学を自由自在に操るというレベルには程遠かった。

 結構厳しい先生だったが、私も一度決心したことは案外続ける方なので、三、四年続いた。
 いつだったか「一番大事なことは、Habilidades sociales (ソーシャルスキル)を身につけているかどうかということよ。スペイン語を完璧に話すことよりはるかに重要だわ。沢山いる生徒の中であなただけが、5分遅れる時でも必ず電話を寄越すし、家の女中にも分け隔てなく挨拶するでしょう。そのような小さなことでもちゃんと出来る人は、パラグアイでも世界の果てでもどこでも成功するわ」と言われた。

 何とも含蓄のある言葉で、そのままそっくり twitter で呟きたい位だ(後で呟こう)。

 今日までスペイン語を曲がりなりにも駆使して生活出来ているのは、当時のエステラ先生の指導の元、土台がちょっとはしっかりしたものになったからだと思う。とても感謝している。
 そしてこれも「発声」が引き寄せた強運の一つだろうかと考えるのである。